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オーストリア公演(2003年05月)



Donau Festival (ドナウフェスティバル) 2003/04/24〜05/17 参加

水嶋一江&ストリングラフィ・アンサンブル公演


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会場:Voest Alpine (Krems)

05月15日(木)19:30開演 16日(金)19:30開演 
17日(土)18:00開演 20:30開演
合計4回公演 延べ観客数 約1400人




ドナウフェスティバルは、1991年から続いているアートフェスティバルで、クラシックコンサートは元よりコンテンポラリーダンスや演劇、パフォーマンスなどの多彩なプログラムで構成され、世界各国から様々なジャンルのアーティストを招き開催されており、今年は33のプロダクションが行なわれた。また多くの企業の協賛も得ており、我々がコンサートを行なった会場は、普段は外部の人間は入る事も出来ないVOEST ALPINEと言う鉄鋼関係の会社の敷地内にあるファクトリーの1つであった。会場のあるKREMSという街は、ウィーンの空港から車で1時間半程のドナウ川沿いの美しい街であった。

ここで、約3週間に渡り行なわれたフェスティバルの、最後の3日間に行なわれたストリングラフィコンサートは、珍しさもあってか、人気は上々で、ほぼsold outの状態である事を始まる前に聞かされた。観客はウィーンを始め、全国から集まると言う。
会場は、昨年のフランスのナント公演と同様、大きなファクトリーで,縦・横30m近くはあり、高さも20m近い。広い空間を生かして見る角度によって様々に変化する立体的な楽器設定を行うことが出来た。セッティングに不可欠のスタンドつき鉄パイプも鉄鋼工場だけあって、機能的で美しい物が製作されていた。

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オーストリアのスタッフはとにかく背が高い。水嶋の倍はあるだろうかと思われるステージマネージャーとの打ち合わせ。音響スタッフも照明スタッフも全員が大きい。そして矢張り日本と較べて仕事がのんびりとしている。それがヨーロッパの空気なのだろう…とあきらめ、待つことも仕事と割り切って、コーヒーを飲みながら下準備を待つ。

照明の釣り込みや自立スタンドが立てばこちらのもの。とにかくメンバーの糸を張る動きは、驚くほど早い。あれよあれよと言う間にストリングラフィがセットされて行く。小柄な日本人は働きバチかありんこのようだなあとおかしくなる。2日間、仕込み、ランスルー、照明のシューティングと直し、サウンドのチェックを繰り返し、ドレスリハーサルを終えていよいよ初日の開場時間が近づいてくる。会場のエントランスにはテーブルが用意されてBARができ、一角には自由に触る事の出来る「ストリングラフィ」20本をセットし体験コーナーを作った。

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定刻より5分ほど遅れて場内の明かりが落ちる。

暗転の中の板付き…そして絹糸の奏でる鳥の鳴き声が始まり、ゆっくりと明かりが入ってくる…。ビバルディの「春」が始まった。昨年行なわれた2回のフランス公演では、オリジナル曲がほとんどで、ビバルディやモーツァアルトを弾くのは初めて。クラシックを聴き慣れたこの国の観客に果たしてどのような反応を示されるのか…これは、今回最も気になったところではあった。しかしフェスティバル ディレクターの要望もあり、思いきってクラシックや日本のアニメソングなどもプログラムに入れる事にした。最後は、勿論「美しき青きドナウ」を演奏する事にしたが、正直なところ不安もあった。「ストリングラフィ」はまだ誕生して10年を過ぎたばかり、ピアノやバイオリンなどと較べ、まだまだ完成された楽器ではないのだ。日本にはそんな楽器でクラシックを弾く事を良しとしない人達も多勢いる。

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しかし、曲が進むに連れ、それは杞憂に過ぎないということがわかった。観客からの割れんばかりの拍手。前半が終了し、2,3分の調弦タイムを取り、オリジナル曲が始まると水を打ったような静けさ…ゆっくりと各ポジションに明かりが入ってくる。かすかな絹糸の音色と青い光がゆっくりと空間を満たして行く心地よさ。ここは一体どこなのだろうと思わせる不思議でなつかしい世界。弱々しかった音色が段々と力強さを増して、ハーモニーを成し、会場全体を包み込み、飛翔していく。オリジナルの1曲目「The Shadow of Wings」のラストはカットアウトで終る。そこで割れるような拍手。この拍手の強さに今回の公演の成功が凝縮されていたように思った。 最後の「美しき青きドナウ」では、ほとんどの観客の顔に笑みが溢れ、2曲のアンコールに対しても惜しみない拍手と歓声が続いた。 初めてのオーストリア公演、フランスとはまた一味違う、音楽を心から愛する素朴な暖かさを感じる観客の反応に、メンバー一同表現する喜びを再確認する公演となった。




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Program (70min)
Part 1. 
Mizushima's Arrangements
La Primavela Antonio Vivaldi
Summer is icumen in traditional
Bird List&Memorial Michael Nyman
Mononoke Princess Jo Hisaishi
Eine kleine Nachtmusik W.A.Mozart
Sukiyaki song Hachidai Nakamura
Part2.
Original compositions from Kazue Mizushima
The Shadow of Wings
Stringraphy Tapestry
A Bird in a Cage
The Air is full of sound
A Phantom of Ancient Flute(Aerial Flute)
Transformation of Etenraku
Aerial Drum
The Memory of Forest
Solitude in June

 
An der schonen blauen Donau Walzer J. Strauss
Etude for Stringraphy Kazue Mizushima
Red Dragon Fly Kousaku Yamada
Kanon Johann Pachelbel

  

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