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フランス・ナント 公演(2002年11月)

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11月28日8:30pm 11月29日8:30pm,10:00pm 
11月30日8:30pm,10:00pm 計5回公演

会場:Le Lieu Unique 観客数:延べ約800名






ナントはかつてのブルターニュ公領の首都であり、街の中心にあるブルータニュ大公城は今も当時の威厳を伝える。パリからTGVで約2時間、とても落着いた美しい街である。
ナントは芸術活動が盛んな街で、その中心となるアート組織「Le Lieu Unique 」の招きで、ストリングラフィ・アンサンブル公演が行われた。きっかけは、今年3月、この組織のディレクターが、パリ郊外で行われた「EXITフェスティバル」でストリングラフィを観て気に入ってくれたことで、8ヶ月後にナントでの公演が実現した。

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会場はビスケット工場をアートファクトリーに作り替えた巨大なスペースだった。一見使い古した建物のように見えるが、内部のシステムはファインアート・演劇など様々な種類のアート制作が自在に出来るよう工夫されている。収納可能なテラス式客席、吊りバトンは約30Cm間隔でセットされているし、バックステージには装置製作用の工房もある。日本ではあまりお目にかかれない、天井高11mの空間に圧倒されたが、いろいろ考えた末、やはり出発前に練ったプランでセットする事にした。

空間の広さを活かしてパフォーマンスエリアの中心に鳥かごのようなインスタレーションをいつもより大掛かりに作り、観客はどの位置に座ってもその糸のカオス越しに演奏を観るように計画した。また四方には約20mの超低音ストリングラフィをセットし、声明の様な響きを創り出す事が出来た。3月のフランス公演の、劇場の舞台床下の空間を利用してセッティングした時とは大分雰囲気が違った。しかし、どんな場所にも合わせて自由自在にセッティングできるのがストリングラフィの面白さだろう。

セッティングが完成するとブラックライトに浮かび上がった紙コップと絹糸が幻想的な雰囲気を醸し出している。その雰囲気の中、張り巡らされた糸の間に観客は自由に腰を下ろし、演奏を楽しんだ。

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今回は、3月の時と同じプログラムと言う希望で、水嶋のオリジナルを中心に約40分を予定していたが、幕を開けて見ると熱烈な拍手が鳴り止まず、2回目からはアンコールに急遽「赤トンボ」を加えて50分近くの公演となった。
特にインスタレーション内部での演奏場面では、日本の「ブトウ(舞踏)」をイメージさせるためか、観客が熱心に見入っていた。こよなくアートを愛し、どの国よりも辛口の批評が多いフランス、そのフランスで熱い拍手を惜しみなく送られた私達は、それぞれが、自分の表現により強い自信を持つことができた、貴重な体験となった。

八重樫みどり nantes






  

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